交通事故の被害者になってしまった!どうすればいいの?
不幸にも交通事故に遭ってしまった場合、救急車で緊急病院に運ばれた場合はともかく、その場で歩いて帰れるという程度だった場合、逆にどうしていいか分からないものです。何をすれば良い? どこに通えばいい? 接骨院って保険使えるの? 意外と知らないものです。ここではこれらの疑問にお答えします。
交通事故に遭ってしまったらどうする?
わたしたちが日常生活を送るにあたり、交通事故の被害者になる可能性は常にあります。でも、交通事故に遭うのは頻度としてはそれほど日常的でもないのも事実で、自分も家族も交通事故に遭ったことがないという幸運な人もかなりいます。でもそれは単なる確率の問題なので、いつかは事故に遭うかもしれません。その時、意外と慌ててしまうものです。知っているようで知らないのが、交通事故に遭ったときにどう対処すればよいかです。ここではそれを説明します。
1.警察を呼ぶ
まず大切なことがこのことです。事故に遭ったら被害者からでも加害者からでもいいので必ず110番通報して警察を呼びましょう。事故を起こしたほうだって動転しているので、もしかすると「警察に知らせないでください」などというかも知れませんし、その慌てた様子を見れば、大したこともなさそうだし大ごとにしなくてもいいのではないかという気持ちになるかも知れませんが、それはいけません。あなたにとってもよくないですし、運悪く事故を起こしてしまった普通の人を犯罪者にしてしまいます。状況判断をする余地なく警察を呼ぶというのが正しいです。
2.病院(整骨院)を選ぶ
救急車を呼ぶような事故であった場合はそのまま搬送されますので選択の余地はありません。しかし救急車を呼ばなくてもそのまま帰宅できるような場合もあります。その場合でも病院か整骨院に行きましょう。事故直後は症状がなくても後から出てくる場合があります。それに、相手側(事故を起こした側)が保険を請求するにしても診断書がなければ請求のしようがありません。
病院が良いか整骨院が良いかについては後述します。
3.保険会社に連絡
保険というのは3つあります。1つ目はご自身の健康保険です。2つ目は自分自身の入っている生命保険などの保険です。3つ目は事故の加害者側の入っている自賠責などの保険です。
1つ目の健康保険については特に問題はありません。病院や接骨院に行く際に健康保険証を持参しましょう。(整骨院で健康保険が使えるの? については後述します。)
2つ目の自分の加入している生命保険等については、なんの保険に入っているのか整理しておきましょう。病院や接骨院に行くときに保険証券を持参すると良いです。
3つ目の相手の保険会社へは、どの病院や整骨院に通うことになったかを連絡しなければいけません。
4.治療・施術
問診や診察で得た結果を元に、治療や手技療法や物理療法を行います。「手技療法とはなに?」という疑問もあると思いますが、病院でも整骨院でもプロが内容を選ぶので、それに従ってください。
ただのマッサージであるのならば「肩を強くもんでほしい」などの注文も出せますが、今回はあくまで治療ですので、症状に応じて治療や施術の内容が決められます。こちらから注文をつけることは基本的にはできません。医師や柔道整復師の指示に従ってください。
5.症状の改善
症状が改善するまで通院することになります。その期間は症状によりますが、数週間から数ヶ月というのが一般的です。
6.示談
自分の入っている保険会社と、相手(加害者)の入っている保険会社に症状改善の報告と示談内容を連絡します。
交通事故で整骨院を選べるってほんと?
本当です。
ただし、追加説明が必要です。整骨院で健康保険を適用できるのは交通事故のときだけになります。交通事故と関係なく「なんとなく肩こりがする」「最近腰の調子が悪い」といったときに整骨院に行っても健康保険の対象外、すなわち自費になります。
今回は交通事故の被害者になったことが前提の話ですので、整骨院に行っても健康保険が適用できる状況にありますし、そのように説明しています。
ときおり、整骨院が治療費を不正請求したというようなニュースが出てきます。これは単なる肩こりや腰痛のマッサージに、交通事故の被害者であるというように偽装することで健康保険を不正請求したという話になります。このあたりの話がごっちゃになっていて、「交通事故だといえばマッサージを安く受けられる」というように考える人や整骨院も出てきますし、逆に「交通事故でも整骨院だったら自費になる」というような誤解につながってしまいます。制度を理解した上で、適切な方を選びましょう。
「適切な方を選べと言っても、何が適切なのか」ということになるでしょうから、これについては次章で説明します。
結局、整形外科か整骨院かどっちがいいの?
交通事故で外傷があるのならばともかく、外傷はないけれども痛みが残ると言った場合は、病院だと整形外科の担当になります。ならば接骨院は関係ないではないかという意見もあるのですが、これには歴史的経緯があります。
病院で治療をしているのは医師という国家資格保持者で、接骨院で施術をしているのは柔道整復師という国家資格保持者になります。かつての日本では捻挫や打撲などの「治療」は「骨接ぎ」といわれており、柔道でよく起こる症状であることから、柔術に含まれる活法の技術を使って治していました。これはいわゆる民間治療のうちに入り、西洋医学である整形外科は後から出てきたものになります。法律により医師以外が治療行為をしてはならないとなっているので、「骨接ぎで『治療』していた」と『』つきの表現にしています。このため、レントゲン撮影や投薬といった「治療行為」は医師(整形外科)でしかできないことになります。これに対して、柔道整復師には、痛みを和らげることを主目的とした長年の知恵と経験があるということになります。
そのため、整形外科が良いか整骨院が良いかは、下記の4つの観点から考えればよいでしょう。
1. 症状が急性か穏やかか
骨に影響があったりひどく腫れているといった急性の症状については、レントゲンや投薬が可能な整形外科のほうが良いでしょう。それに対して、痛みが残るなどで穏やかな症状改善を見込みたいときは整骨院が良いでしょう。
2. 通院のしやすさが重要かどうか
大きな病院はあまり便利なところにはありません。救急車で搬送や入院ということになれば選択の余地はありませんが、痛みが残るのでそれが治るまで通院したいという場合、通院のために半日や一日会社や学校を休むというのも難しい話です。立地や開いている時間的に通院しやすいかどうかというのも大切なところになります。
3. 治療以外の手続きをどう考えるか
前述のとおり、交通事故の治療の場合は保険会社への連絡や請求など、かなり面倒な手続きが必要になります。上では「保険証書を持参すると良い」と書きましたが、それは事実なのですが、そう言われてすぐに出てくる人も少ないでしょう。そういったとき、交通事故の手続きに慣れている所は安心できます。接骨院には交通事故対応を得意としているところもあり、そういった点で接骨院を頼るのも良い方法です。
4. 病院は整骨院と、整骨院は病院と連携が取れているかどうか
1で、症状で選ぶべきだと書きましたが、本来それはプロが見立てるべきものです。「これは急性だからレントゲンが必要だ」「これはじっくりと痛みをとったほうが良い」などと素人が自分で考えるのはおかしな話ではあります。
病院には病院の、整骨院には整骨院の得意分野があります。しかしその間にはオーバーラップしているところもあり、病院と接骨院が競合しているのも確かです。そのためこのオーバーラップ部分については、病院側も接骨院側もややポジショントーク的なところがあります。しかしこれは我々には関係のはないことではあるでしょう。我々は適切に治してほしいだけであり、病院のほうが良いと思えば病院を紹介してほしいし、接骨院のほうが良いと思えば接骨院を紹介してほしいものです。ですので、そういった連携がちゃんと取れている患者本位の病院なり接骨院なりを選ぶべきであるといえます。
その意味でも、3で述べた交通事故対応を全面に出している接骨院は、まず相談する相手として適切であるといえます。